今年の葵祭は、雨で1日順延になり、5月16日に行われました。
幸運なことに、15日では所用があって観ることができなかったところ、
16日ならば時間の都合がつくので、上賀茂まで観に行きました。
京都の三大祭の中でも、この葵祭はひときわ歴史が古く、
その起源は1400年前にまでさかのぼるといいます。
葵祭は『源氏物語』にも登場します。
「葵の巻」には、光源氏の正妻である葵の上と、
光源氏の恋人のひとりである六条御息所が葵祭を観に出かけた際、
あまりの混雑で牛車をとめる場所がなく、
空いた場所をめぐって、従者たちが争う場面があります。
牛車を壊され恥をかかされたこの事件がきっかけになって、
その仕打ちを恨みに思った六条御息所の生き霊が、
葵の上にとりついて苦しめることになるという、
今後の物語の中でも重要な展開となるシーンです。
今でこそ、祇園祭の方が人出も多く、全国的にも有名ですが、
その当時は、祭りといえば葵祭のことを示していたくらい、
都に住む人々の間では関心が高く、大きな賑わいを見せた行事でした。
私は毎朝散歩のコースにしている、葵橋から北大路橋にかけての鴨川べりを、
勝手に「方丈記の道」と名前を付けて呼んでいますが、
ここは京都でも一番美しい場所だと思います。
葵祭が素晴らしいのは、上賀茂神社へと向かう行列がこの道を通り、
しかも、平安時代そのままの装束を着ているところにあります。
千年前の京都に生きた紫式部や清少納言、そして鴨長明も、
この場所で私と同じように、この行列をながめていたに違いありません。
彼らと同じ空気を感じながら、そんなことを考えていると
深い感動を覚え、とても幸せな気持ちになりました。




