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「細胞環境デザイン学®」とは?

※細胞環境デザイン学は杏林予防医学研究所の登録商標です(登録商標第5598652号、第5602723号、第5634176号)

細胞の環境をデザインする

私は約30年にわたり、著書や講演会、月刊誌などを通じて、食による予防医学の普及活動に心血を注いできました。その中で、ライナス・ポーリング博士が提唱した「分子整合医学」、そして必須栄養素で形づくられた「生命の鎖」をベースに、そこからさらに発展させた独自の理論を確立しました。
それが、「細胞環境デザイン学」です。

杏林予防医学研究所所長 山田豊文
  • 私たちの体は何十兆個もの細胞で成り立っています。そして、体を構成するシステムは、骨格系、筋肉系、神経系、循環器系、内分泌系などに大別され、それぞれのシステムを専門とする細胞の集まりでできています。200種類ほどにも及ぶといわれるこれらの細胞は、形や大きさ、役割などは違っていても、基本的な構造やメカニズムなどは共通しています。

    1個の細胞は、それ自体が立派な生命体です。1個の細胞の中で生命活動が完結していて、それがたくさん集まることによって、骨や筋肉、神経、血管、内臓などが、それぞれの働きを全うできるわけです。それらの集合体である私たち人間は、それぞれの細胞が今この瞬間に、何を必要としているのかを知りません。しかし、私たちの体を構成する1個1個の細胞自身は、それを分かっています。彼らがつくり出す物質を通じて、細胞同士が常に「対話」しているからです。
  • 100分の1ミリ前後の細胞の中に、直径1000分の6ミリほどの核があり、そこには100万分の2ミリほどの幅ながら1.8メートルもの長さに及ぶDNAが格納され、その遺伝情報をもとに種々の生命活動が営まれている――。これが、細胞たちの織りなす驚異と神秘の世界がミクロコスモス(小宇宙)にたとえられるゆえんです。

    細胞が行っていること(生命活動)は、非常に複雑で緻密なものです。私たち人間が同じことを再現しようとしても、到底できるものではありません。だからこそ、私たちの心身の不調を未然に防いだり、不調を治癒したりできるのは、「医師」でも「薬」でもなく「細胞」だけなのです。細胞は、自分たちにどんな問題が起こっていて、どうすれば本来の生命活動を取り戻すことができるか、お互いに語りかけ、話し合い、自分たちで解決策を導きます。
  • 私たちの役目は、そんな細胞たちが活動しやすいように環境を整えてやることです。体のどの部位を構成する細胞であっても、快適だと思う環境や不快に感じる環境は共通しています。環境さえ整えれば、それぞれの細胞がそれぞれの役割の中で、最善の働きをしてくれるのです。

    こうした驚異の機能を持つ1個1個の細胞の力を最大限に高めるための学問が、「細胞環境デザイン学」です。細胞から元気になれば、心身のあらゆる健康問題を未然に防ぎ、万が一そうした問題に見舞われた場合でも、細胞から元気になれば改善できます。

    私たちは、環境を整えさえすれば、あとは細胞に任せればいいのです。そうすれば、細胞たちが万事うまくやってくれます。これが「細胞環境デザイン学」の本質であり、神髄なのです。

9つのメソッドとは

杏林予防医学研究所では、細胞環境デザイン学の柱となる次のような要素を通じて、細胞から元気になることを目指しています。

栄養(Nutrition)

植物性主体の未加工の食事で構成された「究極の食事」が基本です。①精製や加工の度合いが低い食べ物を選ぶ、②マグネシウム、亜鉛、セレンの「三大ミネラル」の豊富な食品を多くとる、③食物繊維とレジスタントスターチの豊富な食品を多くとる、④油(脂肪酸)のとり方に注意する、⑤動物性タンパク源を減らし、植物性タンパク源を増やす、⑥できるだけ無農薬・無化学肥料のものを選ぶ、⑦ローフード(生の食べ物)や発酵食品をフル活用する……というのが主なポイントとなります。

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運動(Exercise)

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運動が健康によいこと自体は、もはや常識のようになっていますが、その健康効果は何も「ダイエットに役立つ」とか「筋肉や骨を丈夫にする」といったことだけにとどまりません。例えば、少し早足のウォーキングによって、細胞内のミトコンドリアが増加し、疲れにくく持久力の高い体になります。また、運動によって筋肉が刺激を受けると、成長ホルモンの血中濃度が高まると共に、脳由来神経栄養因子(BDNF)という、神経細胞の増殖に不可欠なタンパク質の合成も促進されます。

水(Water)

水は生物が生きていく上で絶対不可欠なものです。人間や動植物は細胞の集まりで形づくられていますが、細胞の中にあるものの大半が水分です。つまり、私たちの体は水でできているといっても過言ではなく、それを維持するために水を飲まなければなりません。近年では農薬や化学肥料の影響で土壌からしみ出した有害な硝酸態窒素が、水道水だけでなく多くのミネラルウォーターからも検出されています。環境を守り、豊かな水を守ることは、自らの体を守ることと同義です。

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日光(Sunlight)

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免疫や骨の健康に重要な役割を果たすビタミンDは、キノコ類や乾物などの食べ物から得られるほか、日光(紫外線)を浴びることで体内でもつくり出すことができます。明け方の日光には青色光が多く含まれていますが、私たちの目や皮膚の細胞には、この青色光を感知する受容体があり、青色光を感知するとインスリン様成長因子(IGF)という物質が多くつくり出され、細胞や組織の成長・再生を促します。また、早朝の青色光を浴びると体内時計が調整され、生体リズムがスムーズになります。

音(Sound)

音や音楽は食や栄養と同じくらい、あるいはそれ以上に大切です。食べ物から必ず得なければならない必須栄養素があるように、環境中から必ず聞かなければならない「必須音」があります。赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時は目が見えず、周囲の情報を視覚から得ることはできませんが、音だけはしっかり聞いています。また、音で重要なのはメロディーではなく振動です。私たちは耳で音を聞いているだけでなく、全身の細胞で聞いています(振動に共鳴しています)。そして、その共鳴が生命活動に大きく影響しているのです。

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節制・断食(Temperance)

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消化ほどエネルギーを使うものはありません。お腹が空っぽになれば、そのエネルギーは全身の細胞の修復やメンテナンスに使われます。仏教の教えで「朝は少食(しょうじき)、昼は正食(しょうじき)、夜は非食(ひじき)」というものがあります。例えばこれにならい、昼食を午後1時に食べ終わってから夕食をとらずにいれば、翌朝の7時に軽めの朝食をとるまでに約18時間の断食を行うことになります。質の高い食事を少なくとり、定期的な断食を習慣にしましょう。ケトン体の健康効果を最大限に享受できます。

空気(Air)

空気や呼吸も重要な要素です。日光を浴びるのに最適な時間帯が明け方であるのと同様に、最も空気が澄んでいるのも早朝です。リラックスした状態のときには副交感神経が優位になりますが、これはゆっくりした深い呼吸によってもたらされます。現代人は交感神経過多で、無意識に呼吸が浅くなったり口呼吸になったりしていることが多いため、鼻で深呼吸する機会を意図的につくり、副交感神経を優位にしましょう。早朝に瞑想を行うのが最適です。

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休息(Rest)

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全身の細胞は、過度の紫外線や活性酸素、環境中の有害物質などを通じて、毎日の生活の中で常にダメージを受けていますが、ダメージを受けてもきちんと修復する仕組みが備わっています。そんな細胞の修復は睡眠中に行われるため、睡眠の質はとても大切です。睡眠の量(睡眠時間の確保)ばかりが取りざたされがちですが、睡眠の質を高めることのほうがはるかに重要です。睡眠を妨げるような要因をなくし、早寝早起きを習慣づければ、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが規則正しく行われます。

信仰・氣(Trust)

日本には古くから、あらゆるものに神が宿っている(八百万[やおよろず]の神)という自然崇拝が古くから定着しています。花鳥風月、山紫水明、森羅万象……。私たち人間もこうした自然の一部であり、気温や気圧、湿度などの変化に応じて神経やホルモンなどを駆使しながら、体内の環境を調節しています。自然とうまく調和すれば健康でいられますが、調和できないと病気になります。自然界との不調和によって起きた病気や体調不良を、自然に反して、人間の力でコントロールしようとするのは、自然に対する冒涜行為です。

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